「あんなライフスタイルで仕事がしたい」と憧れてもらえるように先を歩くものとして、ブレずに自分自身と向き合って、しっかりと事業をやっていきたいと語るのは、奈良市で人気の洋裁教室「トトリエ」を経営する碓氷さん。スクール中から今まで、さまざまな挑戦をされています。

洋裁の専門学校を卒業したあと国際的なブランドで企画から販売まで経験し、現在、洋裁教室トトリエを経営しています。

スクールは、創業スクール卒業生であり、現在レンタルスペース柳花廉を経営している下窪さんにだいぶ前に勧められていたのですが、その時は子どもが小さくて行けなかったんです。子どもを保育園に入れることができたので、2017年に受講をしました。    

石川先生の授業がわかりやすかったです。点と点が線になった感覚でした。先生の授業を受けてから「誰に何をどのように」ということを意識するようになりました。

新しい講座を企画する時や何かを作る時など必ず考えてます。「誰に何をどのように」を明確にすることで、サービスや講座などが良いものになっていると感じています。

受講中に石川先生から、くりぱんの栗野さんが講座の度に毎回、パンを焼いて持ってきていたという話をされたことがありました。

「成功する人は、スクール受講中からやる気が形として見える。パンといえば栗野さんと印象づけられました」と。それを聞いて、次の週から私も自分で作った服を着て出席するようにしました。そうしたら石川先生が講座の中で私にアピールする時間をくれました。認めてもらえたようで嬉しかったですね。同期のメンバーには、洋裁をやっている人というイメージが浸透しました。

毎週、一着服を作るのって結構、大変でしたけどね。

起業は一人で孤独なものです。大人になってから同期とか同級生というのがなかったので、友達でもなくライバルでもない仲間ができたのがいいですね。

同期のゆきの直子さんとは、スクール前にもいろいろなところで会って知っていたのですが、創業スクールの濃い時間を一緒に過ごしたことで仲が深まりました。現在、一緒に仕事をしています。

今もスクールの同期の人がイベントなどに出る時は行くようにしています。    

創業したときは、自分と同じようにハンドメイドを生業とする人を育てようと思っていました。実際にやってみると趣味として楽しみたい人が多かったんです。自分の中でそっちに寄せていくのに抵抗があったのですが、生徒さんがイベントに出たりして楽しそうにしているのをみると自分に求められていることは、洋裁を通して人を楽しませること、どっちかに寄せなければいけないなんてことはないんだなと気づきました。

そこで、楽しみたい人のカリキュラム、プロになる人のカリキュラムを分けたんです。そうしたら、経営もうまくいくようになりました。思っていたよりもニーズがあったみたいです。ニッチな商売だと思っていたので驚きました。やりたい人が多かったのは、リサーチ不足でした。うれしい悲鳴です。

予想よりも早い速度で事業が進んでしまったので、一人でやっていると事務作業が滞って困っています。

これから何かをやるのに遅いことはないと伝えたいです。何かをやろうと思って志したなら今がその時。今の感覚を大事にとにかくやってみてほしい。

去年は、経済産業省の女性起業家応援プロジェクトのLED関西でセミファイナリストまで進むことができました。その時に石川先生や商工会の経営指導員の皆さんが「チーム碓氷」を作ってバックアップしてくれたのは、心強かったです。あれで怖いものがなくなり強くなりました。

創業スクールに行ったことでネットワークが広がり、私を知ってくれる人が増えたので、現在、一人でするには、キャパいっぱいの生徒さんの数になりました。

起業したいこれからの人にとって、私は、こうなりたい姿（夢）だと思っています。「あんなライフスタイルで仕事がしたい」と憧れてもらえるように先を歩くものとして、ブレずに自分自身と向き合って、しっかりと事業をやっていきたいと思っています。

女性の場合は、起業を考えた時に年齢によっては、仕事をとるか出産をとるかを天秤にかけるような場面が出てきます。それは、社会の問題でもあると思うんです。子どもと家族と仕事を天秤にかけることはできないですよね。私は、やる気があれば、どれも一番に大切にするライフスタイルを確立できると思っています。

「碓氷さんは、子ども産んであんな風に働けたんだ。私もあんな風にできるかな」って思ってもらえる働き方を示していきたいです。